北極海航路参画へ国家プロジェクト 初の観測船32年にも就航

政府が初となる北極観測船を建造し、早ければ平成32年にも就航させる方針であることが13日、分かった。自前の北極観測船で科学技術力を高めるとともに、温暖化による氷解で航路活用や資源開発が注目される北極海に関する国際ルールづくりの議論で、日本の存在感を高める狙いがある。北極海航路は日本経済を支える新たな物流ルートと期待されることから、政府は資源開発を含めた北極政策を国家プロジェクトとして位置付ける。
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 北極観測船は、海洋研究開発機構が運用している海洋地球研究船「みらい」(全長128メートル、8700トン)を基本モデルとする。海氷下を長期間にわたって観測できる自律型無人探査機を搭載し、船上からデータ収集などを行う。南極観測船「しらせ」のような砕氷機能を持たせるかは今後、研究を進める。

 政府は船の設計など28年度予算に約3億5千万円を計上し、無人探査機開発には約2億5千万円を投入する方針で、同地域での研究体制を強化する。

 北極海では近年の温暖化で6月から11月ごろの航行が可能になった。国土交通省によると、北極海航路を利用すると、横浜港からドイツ・ハンブルク港の航行距離は、スエズ運河を通る「南回り航路」(約2万1千キロ)の約6割となる約1万3千キロに短縮できるという。南回り航路に比べ海賊のリスクも少ない。
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 政府は今年10月、初の「北極政策」を策定し、北極をめぐる各国の取り組みを主導すると表明。民間企業でも商船三井が昨年、ロシア北部で生産される液化天然ガス(LNG)を、30年から北極海航路を経由して欧州や東アジアに定期輸送すると発表している。

 また、これまで厚い氷で阻まれていた鉱物資源や食材としての新たな生物資源の開発が期待されている。このため、各国が高い関心を示し、中国や韓国も観測船の導入を進めている。

 政府は、観測船派遣などを通じて日本が同海域の主要プレーヤーであることを国際社会に示し、国際ルールづくりに積極的に参画していく戦略を描いている。