‘ベルベットの金脈’からの巣立ち

大学時代。友人とともに、一人で、また出会ったばかりの女性をつれて人生の中で最も回数足を運んだ劇場こそシネマライズ。そこで上映されていた一本の作品は『ベルベット・ゴールドマイン』(トッド・ヘインズ監督)。音楽も生も表現もすべてを覆すかのグラムロックの時代、きらびやかな世界に「これは僕なんだ!これが僕なんだよ!」と無表情にながめる両親に向けてテレビを指さし叫ぶ主人公は劇場にいた私自身だった。その青年の主人公は、後にグラム時代を記事にするジャーナリストで演じるのはまだ若かった『アメリカンサイコ』だったクリスチャン・ベール。イギー・ポップをモデルにしたロックスターに『トレイン・スポッティング』のユアン・マクレガー。あの時代は単館系の尖ったスターだった彼らはシネコンへの大作へと巣立ち、バットマンやスターウォーズのオビワンなどになった。その流れこそ、今回の閉館への足音だったのかもしれない。

あの時代を忘れるには美しすぎて、思い出すには辛すぎるかの青春の日々。舞台となったあのシネマライズに深く感謝したい。お疲れ様でした。
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